タイの青春映画と日本の青春映画を考察してみる

ガールズバンドの醍醐味

こんな展開もありがち

日本の青春映画に見られる特徴として、鉄板とも言える特徴については先ほど述べた通りとなっているが、もう1つよく見られる共通点といえるのが、『トラブルを超えて成功をおさめる』、というものだ。先ほど紹介したスウィング・ガールズの場合だと、本来吹奏楽として演奏するはずだった部員が食中毒で倒れてしまい、その代わりを主演の落ちこぼれと称されていた少女たちが抜擢されたことで、物語は始まりとなる。現実においてもトラブルは常に起こりうるものだ、それこそ起こってほしくないタイミングに発生するから、神様のイタズラなどと揶揄する言葉があるのも妙に納得してしまったりもあるだろう。

ただここが一番ミソとなる、苦難を乗り越えてこそ絆は深まり、団結力が増していくことで第第円を迎えるのが青春映画お決まりのハッピーエンドとなっている。例外としては、ぼくたちと駐在さんの700日戦争の場合だと、原動力となったのが山猿のような出で立ちをした駐在さんの奥さんが世の常識を疑うほどにべっぴんさんだったことでほぼ逆恨みに近い感情で団結、なんてケースもある。後半はものすごい稀なパターンだ、そんなんで団結しても若気の至りとみなすには少々黒歴史すぎる。それで嫌がらせに成功してギャフンと言わせても、後から良からぬ尾ひれがつく可能性が高い。健全という意味ではウォーター・ボーイズやスウィング・ガールズのような青春が一番だ。

ではここで少し青春映画の作品を2つほど取り上げてみようと思います。まず最初に取り上げるのは、今でこそすっかりお馴染みとなったガールズバンドをテーマにした『リンダリンダリンダ』という作品だ。タイトルから分かるように、かつて若者から絶大な人気を博した『ブルーハーツ』の代表曲をテーマにした少女たちの青春ストーリーとなっている。

作品概要

リンダリンダリンダについて話をしていこうと思いますが、まずは簡単に作品のあらすじから見ていこう。

あらすじ

地方都市にある柴咲高校、そこでは文化祭が一番の目玉行事となっている学校だった。そんな学校でバンド活動に勤しんでいた恵・響子・望の三人がいた。その理由は、共にバンド活動をしていたギタリストの萌が指を骨折してしまい、それに対してボーカルの凛子がブチ切れてバンドを抜けてしまったのだ。すでに彼女たちは出演が決まっていたため、今更出演を辞退できなかったため、ボーカルもいない、ギターもいない状況でどうしたものかと悩んでいた。そんな時、あるカセットテープを聞いてみるとそこから流れてきたのは往年といえるバンド、ブルーハーツの楽曲だった。それを聞いた恵がこれならば自分でもギターが引けると大見えきった発言をしてしまい、さらには道すがら見つけた韓国人留学生のソンにボーカルを依頼する。

ギターに恵、ボーカルにソンという即興バンドが出来上がるも、本番まで残り3日という究極すぎる状況下で彼女たちの、それとなく日常を過ごしつつ寄り道しっぱなしの短期集中練習が始まりを告げる。文化祭をこなしつつもバンド練習に励んでいく、果たして彼女たちは見事舞台を成功に導けるのだろうか。

ガールズ・バンドでブルーハーツという組み合わせ

この作品ではスウィング・ガールズのように音楽がテーマとなっていますが、取り上げているのはこちらは今どきなロックバンドとなっている。それもガールズバンドではそこまで頻繁に演奏されている印象は公開当時無かったブルーハーツという組み合わせは異色中の異色といえるだろう。おまけにバンドを組んでも残り3日しかない限られた練習時間を費やすという、締め切りに追われる漫画家状態だ。

作品が登場した頃、2005年頃にはすでに色々な女性バンドが登場していた。本格的に到来が確認されたのは2001年頃、この頃に登場した『ZONE』・『whiteberry』といったバンドによって当時の女子学生たちが熱狂に包まれた。それまでガールズバンドといえばプリンセス・プリンセスくらいしかいなかったため、この映画でもそんなガールズバンドブームに倣って制作されている。ZONEの場合は少し特殊なケースだが、一応引いている作品もあるのでガールズバンドとみなしていいだろう。

しかし女子学生がブルーハーツを引く、というのは中々考えられないだろうが、バンドをしている人にすればブルーハーツは男女問わず憧れの存在といったところか。

最後には一致団結

紆余曲折、最後の最後にやってはいけないトラブルを引き起こすなど最後まで行き着く暇もなかった同作品も、ラストにはハッピーエンドとして仲間たちとの熱い友情とバンド成功を祝している姿が写しだされている。この作品で表現されている青春像について思うことがあるなら、物事はそう都合よく運ばないといったところか。また即席で3日で完璧に合わせられるということもないので、フィクションじみた内容であることに変わりはない。